半年位前に恋人ができて仲良くやってきたのだけど、どうも最近彼の態度が冷たくなった気がする。
彼のために色々とやってあげて本当に尽くしているのに、何か彼からの愛が薄れてしまっているように感じる。
そんな悩めるあなたへのアドバイスです。
尽くし過ぎると逆に離れていく
彼の気持ちが離れていった原因は、あなたが彼に尽くし過ぎるせいかもしれません。
相手に愛情があれば、『尽くしたい』、つまり犠牲を払ってでも相手のために援助をしたい、というのは愛情表現の1つではあります。自分の時間や手間を惜しまず相手のために費やすこともいとわない訳です。
しかし相手への愛情を示すのに、尽くすことでしか表現できない、と言うのはあまり良い結果につながりません。
愛することとは、ただ尽くせば良いというものでもないからです。尽くせば尽くすほど相手から愛情が返ってくるわけではありません。
ある調査結果では、カップルの間でどちらかが「尽くしている」、あるいは「尽くされている」と不公平感を感じているカップルは、公平に感じているカップルよりも短命なことが多いようです。心理的にバランスの取れていることが2人の関係を長続きさせるのに重要なんですね。
その理由の大きな1つに『返報性の原理』があります。
『返報性の原理』と言うのは、人は人から好意を受けると(親切にされる、何かをしてもらう等)、その相手に好意のお返しをしたいと感じることです。人から好意を受けっぱなしだと、脳はバランスが悪く不快な気持ちになるので、こちらからも好意を返してこの不快感を解消しようという心理が働くのです。
礼儀として受けた親切にお返しをするということもありますが、根本には返報性の原理という心理があるのです。
そして返報性の原理は、受け取ったコト・モノの大きさ・価値・量に見合ったお返しをしようとします。たくさんのモノを受け取ったのに返したモノが少なければやはりバランスが悪くて不快なのです。
これは恋人同士でも例外ではありません。むしろ恋人同士のように近い間柄の方が強く感じる傾向があります。
ですので、あなたが彼に一方的に尽くしていた場合、実は彼の方には『お返しをしなきゃいけない』と言う気持ちが溜まってしまうのです。やがてこれが負担になってしまい、彼はあなたと距離を取りたいと感じ始めてしまうのです。そうなると彼はあなたのことを、重荷と感じてしまったり、『ウザい』とか『重い』と思い始めて、愛情も冷めていくかもしれないのです。
自分のために尽くしているのかもしれない
もしあなたが、彼への純粋な愛情だけでなく、『わたしは尽くしているのだから、その分愛してもらえるべき』と考えて尽くしているのなら、それが彼の気持ちを冷めさせているのかもしれません。
これは『社会的交換理論』といって、「自分が労力をかけた分報われないとおかしい」、あるいは「報酬を得たいから労力をかけている」という考えです。いわば、自分が報われるために労力をかけているわけで、実は自分のためにやっているのです。そして報われなければ、強い不満を感じます。
今回の場合に当てはめると、あなたは『尽くす』と言う労力をかけているので、『愛される』と言う報酬を得られるべきだと思っているのです。または『愛される』と言う報酬を得るために『尽くしている』のかもしれません。しかし、あなたが尽くした分に見合った愛情を受けられないと、『わたしはこんなに尽くしているのに、どうして愛してくれないの?』という不満が湧き出てくるのです。
この不満を直接彼にぶつけるのはもちろんのこと、態度に出てしまうようでは、それこそウザい女と思われてしまうでしょう。
たとえ不満を表に出さなくても、結局は自分のために『尽くしている』のは相手にわかってしまいます。本当に相手のことを想ってのことではないので、押し付けがましく負担に感じるのです。
こうして彼が離れていくと、彼を引き戻そうと、より尽くそうとしてします。しかしこれが余計に彼を離れさせることになってしまいます。
そもそも愛情を求めて相手に尽くすというのは、健全な恋愛とは言い難いでしょう。打算的に尽くしても、本当の愛情を得ることは難しいのです。
自分の存在価値を見出したいために尽くす
もう一つ、自分の存在価値を見出したいために相手に尽くすということもあります。自分の自己評価が低く自分の存在価値がわからないという人が、尽くす相手を見つけることで自分の存在価値を見出そうとするのです。
「この人に尽くするために私は存在しているんだ」と考えるわけです。
人は誰かに必要とされていると思えば自己承認することができ、自分が存在する意義を感じられるのです。
普通なら恋人ができれば、それだけで自分はその相手に必要とされる人間だと思えるのですが、自己評価が低いとそれだけでは足らず、「もっと相手に尽くしてあげないと自分がいる意味がない」と思ってしまうのです。
このケースも上で説明した『社会的交換理論』に通ずる部分もあるのですが、『社会的交換理論』は相手からの報酬を求めるのに対して、このケースは自分が自分自身に報酬を与えようとするのです。
しかし結局は自分自身のために相手に尽くそうとしてくるので、相手からしてみれば同じように押し付けがましく負担に感じるのです。
そして彼の気持ちが離れ始めると、自分の存在価値を見失ってしまうので、必死に彼を引き戻そうとしますが、今以上に尽くしたとても彼の気持ちは帰ってこないでしょう。
さいごに
恋愛は尽くしすぎても良くなく、むしろバランスが大切です、ということを説明してきました。ただ彼に尽くすだけでなく、彼に甘えてみることも二人のバランスをとるために重要な愛情表現なのです。
ただし、例えば彼が入院してしまった時など、相手がそれを必要としていて、相手のことを本当に想って献身的に尽くしてあげるなら、それは尽くし過ぎではないと思います。こういうケースなら、あなたのその想いはきっとあなたへの愛として返ってくるんだと思います。