うつの意欲・行動障害は気力がない、動けない、楽しめない

うつになると気力が出ない、何もしたくなくなる、という症状はよく知られている症状だと思います。

これらはうつ病の『意欲や行動の障害』と言われるものです。

うつ病の意欲や行動の障害は、「人間の生きるエネルギーそのものが枯渇してしまう」と言えるくらいの辛い症状です。

ここではうつ病の意欲や行動の障害について詳しく説明していきます。

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うつの行動の障害のせいで何もできなくなる

うつ病になると、とにかく何をするのも億劫になり、何かをしようとする気力が出なくなります。うつの初期は、億劫でやる気が起きないながらも何とか動けますが、だんだんと動き出すまでに時間がかかるようになっていきます。動き始めてもなかなかテキパキとこなすことができず、時間がかかるようになってしまいます

もともと気が進まないことはもちろんのこと、今までは好きでやっていたようなことでさえやる気が出なくってしまいます。

さらに別の症状である思考の障害の影響で頭が働かなくなってしまうことも、この状態に拍車をかけます。何かをしようとしても頭が回らず、段取りが決められなかったり何から始めればいいのかわからなくなってしまい、余計に動きだせなくなってしまうのです。
【参考】うつは思考力や記憶力や決断力の低下で能力が著しく低下する

そして、うつが進んでしまうと本当にまったく動き出せなくなってしまいます。それまで少ない気力をふりしぼりながら何とかやってこれたのが、ふりしぼる気力が完全に尽きてしまうのです。頭では「やらなきゃ」と思っていても、まるで電池が切れた時計のように動けなくなってしまうのです。

「動けない」と言っても筋肉が硬直してしまうとか関節が固まってしまうといったフィジカルな面で体が動かないのではなく、脳からの信号が出ていかないから体が動こうとしない、というのが私の感覚です。

私がうつで病院に行ったのは行動の障害がキッカケ

私がうつで病院に行くきっかけになったのは、会社に行くための支度ができなくなってしまったからです。

朝起きて布団から出て、朝食を食べて(私の場合食欲はそれほど落ちなかったので朝食は食べれました)、髭を剃るまではなんとかできるのですが、そこで気力が尽きてしまうのです。本当ならその後スーツに着替えて家を出るのですが、どうしてもスーツに着替えることができなかったのです。髭を剃り終えたところで電池が切れたように動けなくなってしまいました。

最初は、その頃仕事がものすごく忙しく長時間労働をしていたので、「きっと疲れているせいだ」と思い、とりあえず会社を休みました。しかし、そんな状態が1週間続いて「何かがおかしい」と感じ病院で診てもらった方がいいと思ったのでした。

このように気力が尽きてしまった時は、本当にひどい時は「トイレに立つ」ことすらしんどくなります。私も経験ありますが、本当に限界になるまで動きたくないのです。

また、こうなる少し前から、自分の歩くスピードにがものすごく遅くなったと感じていました。元々私は、駅や通勤路で歩くスピードは速めで、どちらかと言えば人を追い越しながら歩いていました。信号待ちからの一斉スタートでは、いつも先頭集団を歩いていたものです。

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ところがある日、私は多くの人から追い抜かれていることに気付きました。その時はまだ自分がうつだとわかっていなかったので「あれ?なんで自分はこんなに歩くの遅くなってるんだ?」と思っていました。

このようにうつになると、はじめは無意識に体の動き悪くなり、だんだん気力の無さや「何もしたくない」気持ちを感じるようになっていき、最後には電池切れのように動けなくなってしまうのです。

うつの意欲の障害で何も楽しめなくなってしまう

うつは行動を起こす気力が失われるだけではなく、自分の好きなことを「やりたい」と思う意欲や楽しむという感情でさえ低下してしまうこともあります。

以前は楽しんでやっていた趣味なども、楽しめなくなってしまったり、やろうとする意欲がなくなっていくのです。

好きな音楽を聴いても、好きな映画を観ても、あるいは自然の風景などを見ても心が動かなくなり、喜びや楽しみが湧いてきません。

これは、うつの感情の障害でネガティブな気分になってしまうこともあり、「嬉しい」「楽しい」といったポジティブな感情が持てなくなることも影響しています。
【参考】うつは気分の落ち込み以外にも不安やイライラ、つらい感情も

「やろう」「やらなきゃ」と思っても体が思うように動かず、「やりたい」と思えることも無くなっていってしまうのです。

うつの意欲や行動の障害は人間の生きる欲求が無くなった状態

うつの意欲や行動の障害は、食欲などの人間の基本的な欲求さえも低下させてしまいます。もう生きるための欲求が湧いてこないのです。

うつでなくても、とても悲しい出来事があったり、強いショックを受けたりした後は、「何もしたくない」と思うことはあります。普通であれば、こういった気持ちは徐々に薄らいでいき、前向きな考えが少しずつできるようになっていくものです。

しかしうつの場合、いつまでたっても前向きな考えが出てくるどころか、どんどん意欲が減ってしまうのです。

うつの状態になった脳は、意欲を生み出す部分が働かなくなっているか、あるいは意欲は出てきても伝達が途中で途切れてしまうか、あるいはその両方が起きているような感じだと思っています。

いずれにしてもうつは脳の病気ですから、何もしたくなくなった、何も出来なくなったという症状があったら一度専門医の診察を受けるべきです。うつ病かどうかは、意欲・行動の障害だけでなくその他の症状も含めて総合的に診断されるものです。ですので正確な診断を受けるためにも、精神科やメンタルクリニック、あるいは心療内科などの専門医で診察を受けてください。

さいごに

動けなくなってしまうまでいってしまうと、かなりの重症です。

しかし実際には身体的な動けなくなっているわけではないので、「動けるのに動かない自分は怠けている」と考えてしまう人もいます。

うつは脳の病気であり、脳が正常に働かないために動けない状態になってしまっているのですから、余計なことを考えずしっかりと診察を受けて治療に専念してください。

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